金融資産が1億円を超えたからといって、生活が急に変わったわけではありません。
資産が増えたからといって大きな買い物をするようになったわけでもありませんし、普段の生活水準を上げたわけでもありません。
住んでいる家も、普段食べているものも、それまでとほとんど変わっていません。
むしろ、自分でも驚くくらい何も変わりませんでした。
ただ、一つだけ大きく変わったことがあります。
それは、仕事に対する考え方です。
以前は「定年まで働く」のが当たり前だと思っていた
会社員として長く働いていると、毎日仕事をすることが当たり前になります。
もちろん、仕事が楽しい日ばかりではありません。
忙しい日もありますし、面倒な仕事もあります。
「今日は仕事をしたくないな」
と思う日だってあります。
それでも以前の私は、
「会社員なのだから働くのは当たり前」
「定年までは働くものだ」
と、どこかで思っていました。
少なくとも、「仕事を辞める」ということを現実的な選択肢として考えることは、ほとんどありませんでした。
資産が増えると「辞めてもいい」という選択肢が生まれた
ところが、金融資産が増えてくるにつれて、少しずつ考え方が変わってきました。
あるとき、
「もし今、会社を辞めたらどうなるんだろう?」
と考えるようになったのです。
もちろん、金融資産が1億円を超えたからといって、一生何も考えずに暮らせるとは思っていません。
これから先、どれくらい生活費がかかるのか。
家族にかかるお金はどうなるのか。
年金はいくら受け取れるのか。
医療費や住宅の修繕費など、予想できない支出もあります。
考えなければならないことはいろいろあります。
それでも、
「会社を辞めたら、すぐに生活できなくなる」
という状態ではなくなりました。
この違いは、思っていた以上に大きなものでした。
「辞められない」と「辞めない」はかなり違う
以前は仕事が大変でも、
「生活のためには働かなければならない」
という感覚が強かったと思います。
でも、ある程度の資産ができると、
「働かなければならない」
から、
「今は働くことを選んでいる」
という感覚に少しずつ変わってきました。
実際にやっていることは同じです。
仕事をして、給料をもらう。
何も変わっていません。
それでも、
「辞められないから働く」のと、「辞めることもできるけれど、今は働く」のでは、気持ちがかなり違います。
私にとって、資産形成によって得られた一番大きなものは、もしかするとお金そのものではなく、この「選択肢」なのかもしれません。
50代になると、お金より時間も気になってくる
若いころは、老後というものがずっと先にあるように感じていました。
でも50代になると、そうでもありません。
60歳まであと何年。
65歳まであと何年。
そう考えると、会社員として働く残りの時間だけではなく、自分が自由に使える時間があとどれくらいあるのかも気になるようになりました。
もちろん、70代、80代になっても元気に旅行したり、趣味を楽しんだりできるかもしれません。
ただ、今とまったく同じ体力がずっと続くとは限りません。
そう考えると、
「できるだけ資産を増やしてから仕事を辞める」
ことだけが正解なのだろうか、と思うようになりました。
資産を増やすために時間を使い続けて、ようやく仕事を辞めたときには、やりたかったことを十分楽しめなくなっていた。
それでは少し寂しい気がします。
FIREという言葉を意識するようになった
そこで意識するようになったのが「FIRE」です。
Financial Independence, Retire Early。
経済的自立を達成し、早期リタイアを目指す考え方です。
ただ、私の場合、20代や30代で仕事を辞めるような「早期リタイア」とは少し違います。
すでに50代です。
ですから私にとってのFIREは、
「できるだけ早く仕事を辞める」
というより、
「自分で仕事を辞める時期を決められる状態になる」
という意味合いのほうが近いように思います。
完全に働かないことにはこだわっていない
FIREというと、
「会社を辞めて、もう一生働かない」
というイメージもあります。
でも私は、必ずしもそこにはこだわっていません。
会社員としてフルタイムで働くことをやめたあとも、負担の少ない仕事を少しするのは悪くないと思っています。
週に何日か働いてもいい。
興味のある仕事をやってみてもいい。
収入がそれほど多くなくても、生活費の一部をまかなえれば、資産を取り崩すペースも遅くできます。
何より、
「生活のために嫌でも働かなければならない」
という状態から離れられれば、それで十分なのかもしれません。
完全FIREだけではなく、いわゆるサイドFIREのような暮らし方も、私にとっては現実的な選択肢です。
今のところ、60歳を一つの区切りに考えている
現在の私は、60歳を一つの区切りとして考えています。
もちろん、絶対に60歳で仕事を辞めると決めているわけではありません。
そのときの資産額。
家族の状況。
仕事の状況。
そして自分の健康状態。
いろいろな条件によって考えは変わると思います。
逆に、状況によっては予定より早く会社員生活を終えることもあるかもしれません。
以前なら、こうしたことを考えること自体があまりありませんでした。
でも今は、
「いつまで働くかを自分で決める」
ということを、現実的に考えられるようになりました。
これも資産形成を続けてきた結果だと思います。
資産形成の目的が少し変わってきた
投資を始めたころは、単純にお金が増えることが楽しかったように思います。
資産が増える。
含み益が増える。
配当金が入る。
数字が大きくなっていくこと自体に面白さがありました。
今でも資産が増えれば、もちろん嬉しいです。
ただ、最近は少し考え方が変わりました。
何のために資産を増やしているのか。
以前よりも、こちらを考えるようになっています。
1億円を1億2,000万円にする。
1億2,000万円を1億5,000万円にする。
そして、その次を目指す。
数字だけを追いかければ、終わりはありません。
でも、お金を増やすことそのものが人生の目的ではないはずです。
私の場合、資産形成の目的は少しずつ、
「お金を増やすこと」から「自分の時間と選択肢を増やすこと」へ変わってきた
ように感じています。
1億円で本当にFIREできるのか
とはいえ、ここで一つ大きな疑問があります。
金融資産が1億円あれば、本当に仕事を辞めても大丈夫なのでしょうか。
1億円という数字だけを見ると、かなり大きな金額に見えます。
でも、前回の記事で書いたように、私の資産の大部分は株式や投資信託などで、すべてが現金ではありません。
確定拠出年金のように、現在は自由に使えない資産もあります。
そして仕事を辞めれば、当然ながら毎月の給料もなくなります。
生活費だけでなく、税金や社会保険、年金などについても考えなければなりません。
そう考えると、
「1億円あるから、もう大丈夫」
と単純に判断するわけにもいかなそうです。
次回は、
「1億円あれば本当にFIREできるのか?」
ということを、私自身の状況に当てはめながら、もう少し具体的に考えてみたいと思います。


