今週の市場をひと言で
今週の株式市場は、AI関連株への期待が揺らいだ1週間でした。
米国ではインフレの再加速とAI投資の採算性への懸念から、ハイテク株を中心に売りが広がりました。日本株もAI・半導体関連株を中心に大きく下落しています。
ただし、すべての株式が同じように売られたわけではありません。
米国ではNYダウが週間で上昇し、日本でも日経平均とTOPIXの下落率には大きな差がありました。
今週の米国株・日本株の動きを振り返ります。
米国株式市場の振り返り
主要指数の週間騰落率
| 指数 | 10月16日終値 | 週間騰落率 |
|---|---|---|
| S&P500 | 7,659.44 | -1.95% |
| NASDAQ総合 | 26,140.03 | -4.48% |
| NYダウ | 52,002.41 | +0.67% |
※週間騰落率は10月9日終値との比較。
今週、特に目立ったのはNASDAQの下落です。
AI関連企業への投資期待が後退し、半導体やクラウド関連株を中心に売りが広がりました。
一方、NYダウは週間では上昇しています。
米国株全体が一様に売られたわけではなく、ハイテク株とそれ以外の業種で値動きに差が出た1週間でした。
AI投資の採算性に厳しい視線
これまでの株式市場では、AI関連企業の成長期待が大きな上昇要因となってきました。
しかし、AI向けデータセンターの建設には巨額の資金が必要です。特に借入金への依存度が高い企業では、金利の高止まりによる資金調達コストも無視できません。
市場ではAIの将来性そのものだけでなく、巨額の投資をいつ利益として回収できるのかにも厳しい視線が向けられるようになっています。
AI関連株がこれまで大きく上昇してきただけに、投資家の期待と実際の収益とのバランスが、今後ますます注目されそうです。
米国のインフレが再加速
10月14日に発表された9月の米国消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.7%上昇しました。
8月の3.4%から加速し、食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年同月比2.6%上昇しました。
インフレが長引けば、FRB(米連邦準備制度理事会)が高い金利を維持したり、追加利上げを検討したりする可能性があります。
米10年国債利回りも5%を超える水準で推移しており、高金利の長期化は、将来の成長期待を織り込んで株価が上昇してきた企業にとって逆風になりやすい環境です。
日本株式市場の振り返り
主要指数の週間騰落率
| 指数 | 10月16日終値 | 週間騰落率 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,324.29円 | -5.37% |
| TOPIX | 4,066.00 | -0.95% |
※週間騰落率は10月9日終値との比較。
※10月12日はスポーツの日で休場。日本市場は4営業日でした。
日経平均は前週末の69,000円台から大きく下落しました。
特に15日は3,318円安という急落を記録。16日には898.34円高と反発したものの、週間では大幅な下落となりました。
日経平均とTOPIXの差に注目
今週興味深かったのは、日経平均が5%以上下落した一方、TOPIXの下落率は1%未満だったことです。
日経平均は、アドバンテストや東京エレクトロンなど、一部の値がさ株の影響を強く受けます。
今週はAI・半導体関連株の下落が日経平均を大きく押し下げました。
一方、TOPIXはより幅広い日本企業の株価を反映しています。
日経平均だけを見ると日本株全体が急落したようにも見えますが、実際には業種によって値動きにかなりの差がありました。
指数を見るときには、数字の上げ下げだけでなく、その背景にある業種や銘柄の動きにも目を向けたいところです。
日銀の金融政策と為替
日銀の植田総裁は16日、基調的な物価上昇率を2%程度で安定させるため、必要に応じて金融緩和の度合いを調整していく姿勢を改めて示しました。
現在の日銀の政策金利は1.25%です。
ドル円相場は16日の東京市場で1ドル157円台後半で推移しました。
円安は輸出企業の収益を押し上げる要因になる一方、輸入品やエネルギー価格を通じて国内物価にも影響します。
株式だけでなく海外資産も保有する場合、株価と為替の両方が資産全体の値動きに影響します。資産をどのように分散するかについては、Compound Tomorrowでも別の記事で詳しく取り上げています。
今週の重要ニュース4選
1.米国のCPIが前年比3.7%に上昇
9月の米国CPIは前年同月比3.7%上昇し、市場予想を上回りました。
エネルギー価格の上昇が大きく影響しましたが、コアCPIも2.6%上昇しています。
インフレが長引けば金利も高止まりしやすくなるため、株式市場だけでなく債券市場にも影響する重要な材料です。
2.AI関連企業の資金調達リスクが意識される
AI向けクラウド事業を展開するCoreWeaveなど、巨額の設備投資を進める企業への警戒感が強まりました。
AI市場そのものが成長したとしても、その成長がすべての関連企業の利益につながるとは限りません。
これまで「AI」というテーマそのものへの期待が株価を押し上げてきましたが、今後は投資額と実際の収益をより厳しく評価する局面に入る可能性があります。
3.原油高がインフレ懸念を強める
中東情勢を背景とした供給不安から、原油価格が上昇しました。
原油高はエネルギー企業には追い風となる場合がありますが、輸送業や製造業にはコスト増となります。
さらにガソリンや輸送費などを通じて物価を押し上げれば、中央銀行の金融政策にも影響します。
株式市場を考えるうえでも、原油価格とインフレの動きは引き続き重要です。
4.日銀は金融政策正常化の姿勢を維持
日銀の植田総裁は、物価動向を見ながら金融政策を調整していく姿勢を改めて示しました。
金利上昇は銀行などには収益改善要因となる一方、借入金の多い企業にとっては負担となります。
また、預金金利や国内債券の利回りにも影響するため、日本でも「ほぼ金利がない」ことを前提とした資産運用環境から変化が続いています。
長期投資家として押さえておきたいこと
今週の相場で特徴的だったのは、株式市場全体が同じ方向へ動いたわけではないことです。
米国ではNASDAQが大きく下落した一方でNYダウは週間で上昇。日本でも日経平均が5%以上下落したのに対し、TOPIXの下落は1%未満でした。
特定のテーマや一部の大型株が指数全体を大きく動かすことがあります。そのため、指数の値動きだけで市場全体を判断しないことも大切です。
また、FIREが近づくほど、株価が大きく動いたときに生活資金のための売却を迫られない準備も重要になります。Compound Tomorrowでは、FIRE前に現金を増やす意味や、FIRE直後に暴落した場合のシミュレーションについても別の記事で詳しく検討しています。
週単位の相場変動と、数十年単位の資産形成は時間軸が異なります。
今週のように市場が大きく動いたときほど、短期のニュースと長期の資産計画を分けて考えたいところです。
来週の注目ポイント
来週10月19日〜23日は、中国の経済指標と米国企業の決算が大きな注目材料になります。
10月19日には中国の7〜9月期GDPが発表される予定です。中国景気の状況は、日本企業や世界の製造業にも影響するため注目されます。
米国では20日にNetflix、21日にTeslaやMetaなどの決算が予定されています。
特にMetaなどAIへの巨額投資を続けている企業については、設備投資と収益のバランスが注目されそうです。今週はAI投資の採算性への警戒感から関連株が売られただけに、実際の企業業績が市場の見方を変える可能性があります。
日本では23日に9月の全国消費者物価指数が発表される予定です。物価動向は日銀の今後の金融政策を考えるうえでも重要です。
その翌週には、FRBが10月27〜28日にFOMC、日銀が10月29〜30日に金融政策決定会合を予定しています。
インフレ、金利、企業業績という3つの材料が、引き続き市場の大きな焦点になりそうです。
まとめ
今週は、AI関連株への警戒感と米国のインフレ再加速が重なり、ハイテク株を中心に大きく値動きした1週間でした。
ただし、米国ではNASDAQとNYダウ、日本では日経平均とTOPIXで週間騰落率に大きな差があり、市場全体が一様に下落したわけではありません。
来週は中国の経済指標に加え、Netflix、Tesla、Metaなど主要企業の決算が予定されています。
特にAI関連企業については、成長期待だけではなく、巨額の投資が実際の利益につながっているのかという点が、これまで以上に注目されそうです。
短期的な値動きだけでなく、その背景で何が変わりつつあるのかにも注目したいところです。
週間マーケット振り返りでは、これからも米国株と日本株の1週間を、長期投資の視点から整理していきます。


